誰も知らないサーカス

三十路SEが感情のごみ箱として使用します

四年間付き合った彼女と別れました 

四年前のおれ、1月の真冬、午前5時、ふいに目が覚めてしまい回りを見渡すと不思議なぐらい静かな部屋。そうか、おれは奥さんと別れてしまったんだ。

部屋はどこまでも静かで、どこまでも冷たい、体の芯まで冷え切ってしまいそうだ。荷物の少なくなった部屋、築3年の分譲マンションは不気味なぐらい綺麗で壁紙には傷一つない。しーん、という無音の音が頭に響く。

5分ほど布団から起き上がった状態でぼーっとしていた。ふとこれが絶望なのか、と気が付いた。びっくりするぐらい孤独で世界には自分1人しか居ないんじゃないか。そう思うのに十分なほど舞台は整っていた。

世間的には特別綺麗な奥さんだった。自分でも慣れてはいたがそうなんだろう、と思っていた。ただ、どうしても、どうしても足の太さが気になって夜の生活が出来なかった。別にそんな太くなったわけではない。体重にして2,3KGしか増えていないだろう。ただある時、どうしもようもなく気になってしまったのだ。ハムみたいだな、と思ってしまった。その日を境にまったくしなくなってしまった。おそらく自分の性欲もかなり落ちており、なにか言い訳をつけてはしたくなかったのだろう。

ただでさえ奥さんはフリーランス、夜型の典型的な生活だった。自分はサラリーマン、8時半始まりと早めの朝方生活、そして金銭的な言い争いはやがてお互いの距離をじわりじわりと割いて行った。

そして奥さんは友達(男友達)と夜呑みに行って朝方帰ってくる、という生活を始める。単純に寂しかったんだと思う。自分は当然のように怒り、反省してほしいという意味を込めて実家に帰らせた。

奥さんの家はお父さんがいない単身家族だった。母親は奥さんを溺愛しており、帰ってきた奥さんをとても丁重に持て成した。そして奥さんは実家から帰ってこなくなった。

 

あなたに対する愛情が無くなってしまった

ある日こう言われた、結婚とはお互いが一生を共にするものと誓うものだ。結婚式より一年ほどしか経っていない状況でそんな言葉を言われると想像すらしていなかった。結婚した、という事実が自分を安心させてしまい、離れた距離を縮めようという努力すらしなかった。今考えればなんて馬鹿なんだ、と思う。でも言われてしまった。嫌いとかでもない、どこか直してほしい、でもない、愛情が0だ。という。もう打つ手は無いのか。。。気が付いたら負けていた。

 

奇妙な立ち人形があるな、と思っていた。最寄駅から3分ほど、小道に入った場所にその人形は立っていた。飲み屋の看板だった。どうせ帰ってもやることも無い、そんな中飲み屋に入ってみた。

アメリカンポップな派手な内装に、リーゼントヘアーの店員。でも店員は見た目と違い優しい、常連さんはほとんど地元の人。そんなお店がずいぶんと自分を救ってくれたように感じた。やがて3、4回と通いだし、不動産を持ってる金持ちの常連さんと会話をし、隣にもバーがあるから一緒に行こうか、そう誘われた。

 

なにしにきたの?

隣のバーで座っていた女の子から話しかけられた。隣の店から来たんだよ。そんな話をした。初対面では特に可愛いなとは思わなかった。ただその子は店員と友達で、その店の店長から誘われてここに来たが、しつこいのでその店を抜け出したい。そう言った。

そしてなぜかその店を出て、2人でカラオケに行った。カラオケでは無難にお互い歌い、特に何事もなく、解散となった。もう会うことは無いだろうな、なんとなくそう思った。

 

ご飯食べに行きませんか

一週間後にLINEが来た。正直びっくりした。あちらから連絡が来るとは。もちろんOKした。そして付き合うことになった。

 

そんな日から4年が経った。付き合ってから1年後には同居し、一度引っ越しをし同棲3年目となった。最初は一緒に入れるだけでよかった。他に何もいらなかったが次第に要求は上がっていき、少しづつ緊張感が走るようになっていった。

 

自分はもう結婚はこりごりだと思っていた。奥さんは30歳手前で気が狂ったかのように結婚に焦りだし、あちらから結婚したいと言い出し、一年後には愛情は無くなった、と言われた。なんだこれ、と思った。もちろん自分にも原因は多分にあるのだが、結婚が幸せとイコールで無いことを痛いほど知るのであった。

 

そんな自分はしばらくは結婚したくない、と周りに宣言し、彼女にもはぐらかしていた。

 

人には欠点と長所がある。自分が彼女に求めることは話していて面白いことだった。

そして外見で問題が無かったので付き合うことになった。

しかし、結婚、結婚となるともう一つ欲しくなってしまった。安心である。

彼女は短気な性格である。それが喜怒哀楽が激しい、表現力が豊かという長所にもなる。でも自分は彼女の短気なところが、嫌だった。彼女が仕事から帰ってきて部屋が整頓していないと怒るところも嫌だった。なぜ自分の家なのにびくびくしなければならないのか、そう思うと本当に嫌になった。そして別れることになった。

 

この四年間が無駄とは思わない、今の彼女との出会いが無ければ途方に暮れていただろうし、新しい恋は自分を立ち直らせるのにとても良い機会だった。回復は早かった。

でも思い出すと、写真を見るとやはり切ない、なにか出来なかったのか、涙が出そうになる、というかちょっと出る。どうにか出来なかったのか、あるいはもっと早く別れられなかったのだろうか。こんなに切ない思いでが積る前に。

 

ほぼ7年ぶりの一人身、どうしていいか分からない。とりあえず週末は大好きな本が読めるスタバに行こう。そして小説を一日読んで過ごしたい。その後はどうしよう。バイクを買おうかな、故障してからずっと欲しかった。山梨にツーリングに行きたいな。

 

こんな状態でも人生を生きなければならないなんて、辛すぎる

でも四年前はその後に幸せがあるなんて想像出来なかった

今のおれにもそんな幸せがこの先待っているのだろうか

想像すら出来ない