誰も知らないサーカス

三十路SEが感情のごみ箱として使用します

唐突過ぎる出会い

彼女と別れたが出ていくまで同居せざるを得ない、そんな中連日のように下北で飲んでいた時、一人の女の子に出会った。

最初の印象はこんな場末の飲み屋に若い子がいるな。そんな印象だった。別れて傷心していたおれは積極的になれる気分でも無く、ただ習慣なのかエアコンが寒いなど理由を付けて近くに座ってみた。

かなりツンツンしているようだった。お酒も強くガンガン飲んでいる。そして美人なほうではあるので、お客さんからよく声をかけてもらっている。そんな様子を冷めた目で眺めていた。

おそらく声をかけてくるということが常識な彼女にとって、自分は少し違う風に見えただけなのであろう。ただそれは彼女にとって興味を持つのに十分だったようである。

違う女の子とずっと喋って、帰り際にその子と三人で連絡先を交換する流れになったのだが、こんなにも連絡が来るとは想像もしていなかった。

 

正直、少し恐怖を感じた。

ろくに返信もしてないのに一方的に来るLINE、そして下北にあちらから来て(約束もしていないのに)なんとなく合流せざるを得ないという流れ。

なんでそんなに自分に興味があるのか、よく分からないし、そもそもやっと一人になれると思っていた矢先の出来事に混乱した。

そしてそんなに興味を他人に持つタイプの人間は、離れる時も同様であり残酷である。そのさまを何度も見てきた。最初の2週間はずっと心のブレーキをかけていた。

 

そんなブレーキも長くは続かず、親密な関係になってしまった。

なんだよ、それ。ふざけている。おれの人生。

別れて一週間で出会ってしまうなんてふざけているし、周りの仲間も当然のように並行稼働していたんだと思っていた。そりゃあそうだよな、出来過ぎている。

 

ただ、またひどい別れ方をしてもいいや、そう思えたから踏み込むことが出来た。

正直まだアクセルは全快とは言い難い、というか相当なセーブをしている。

でもネタには事欠かないし、こんなチャンス逃したら絶対後悔する、その予感だけは

確実に予想出来たので乗っかることにした。という訳で1人で寂しく慎ましく暮らす、という目標は早くも崩れ去ってしまった。ああ、今思い返しても本当にふざけている。おれの人生。これも右手の傷によるものなのだろうか、あれからずっと強運が続いているように感じる。